[感想]ルーズヴェルト・ゲーム/池井戸潤

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ルーズヴェルト・ゲーム
池井戸 潤 著/講談社
お薦め度:★★★★☆

「一番おもしろい試合は、8対7だ」野球を愛したルーズヴェルト大統領は、そう語った。監督に見捨てられ、主力選手をも失ったかつての名門、青島製作所野球部。創部以来の危機に、野球部長の三上が招いたのは、挫折を経験したひとりの男だった。一方、社長に抜擢されて間もない細川は、折しもの不況に立ち向かうため、聖域なきリストラを命じる。廃部か存続か。繁栄か衰退か。人生を賭した男達の戦いがここに始まる。(「BOOK」データベースより)


予定調和の心地よさ

初めての池井戸作品です。

直木賞を受賞して以降(それ以前から?)書店の目立つ位置にどど~んと積まれている池井戸さんの一連の作品を目にするにつけ、いつかは読んでみたいなと思っていたところ、タイミング良く本作が発売となりました。

大いなる期待でもって本書を読み始めてから少しした頃、ふっと、本当にふっと。あるいは唐突に、気づいてしまったことがありました。

そうか私は企業小説が苦手なんだ。

ということに。

そんなこと池井戸さんの作品を手に取る前に気がついておけよ、といったところなんですが、なぜか今までそのことに全く思いが至りませんでした。

でも、よくよく考えてみれば世間の評価もまずまずの「A列車で行こう」もあまり面白いとは思えなかったし、「メリーゴーランド」は数十ページで挫折。「県庁おもてなし課」にいたっては最初の数ページで本を置いてしまいました。

そんな自分が選んだのが典型的企業小説の「ルーズヴェルト・ゲーム」。果たして最後まで読めるのかどうか……。

けれど、そんなことを思ったのは最初のうちだけ。あっという間にストーリーに引き込まれてしまいました。

先の見えない不景気、ライバル企業の猛攻勢、リストラ、そして野球部存続の危機。

次から次へと難題が持ち上がるのですが、これがフィクションの見本とでも言わんばかりの鮮やかさで、すべてが華麗に解決されていきます。少し出来すぎの感もありますが、変に暗くなったりドロドロしたりすることがないので、最初から最後まで安心して読むことができます。

そうしてラスト。

こうなるだろうな、と思って読み進めてはいたものの、みんなの頑張りが胸を打って、やはり涙目になってしまいました。

企業小説という枠組みはありますが、老若男女を問わず多くの人に愛されるタイプの小説です。