[感想]奇面館の殺人/綾辻行人

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奇面館の殺人
綾辻 行人 著/講談社ノベルス
お薦め度:★★☆☆☆

奇面館主人・影山逸史に招かれた六人の男たち。館に伝わる奇妙な仮面で全員が“顔”を隠すなか、妖しく揺らめく“もう一人の自分”の影…。季節外れの吹雪で館が孤立したとき、“奇面の間”に転がった凄惨な死体は何を語る?前代未聞の異様な状況下、名探偵・鹿谷門実が圧巻の推理を展開する。名手・綾辻行人が技巧の限りを尽くして放つ「館」シリーズ、直球勝負の書き下ろし最新作。(裏表紙より)


館シリーズ第9弾は季節外れの大雪からはじまる

綾辻行人さんの館シリーズは大好きで、以前よく読んでいたのですが、今回久しぶりにこの「奇面館の殺人」を手にし、そうして読みふけりながら、

はて、本格推理とはいったいなんだったかしらん?

とわけのわからぬことを考えてしまいました。

本格はトリックや謎解きに重点を置きすぎるがために、人物が上手く描けていない(ことが多い)とよく言われます。

また作者自らも、作中の人物にこんな言葉を言わせています。

本格物の推理小説(ミステリ)は大変ですねえ。フェアだアンフェアだといった問題をはじめ、独特のお約束や縛りがたくさんあって

と。

これらのことはもちろんわかっているつもりで、そのつもりでいてもなお、この作品はやや小粒であったとの印象が残りました。

 

中村青司の設計した「奇面館」、季節はずれの大雪そして殺人。

典型的なクローズドサークルでありながら、クローズドサークルにつきものの、体にまとわりつくようなゾクゾク感。それでいてつい何かを期待してしまうワクワク感。そういったものを一切感じることができなかったのです。

凄惨な殺人現場であるにもかかわらず、全体にトーンが明るめで、登場人物たちにも一切悲壮感が漂っていません。

とはいえ、当の綾辻さん自身は(結果として800枚になってしまったけれど)「ある意味”遊び”に徹した軽やかなパズラーを」400枚くらいの作品で、と考えていたそうですから、軽い仕上がりは作者の狙い通りなのでしょう。

綾辻さんの館シリーズということで、私のほうが期待しすぎてしまったということなのかもしれません。

でも、やっぱり……、期待してしまいますよねぇ……もごもご。

 

館シリーズは全10作品で終了予定とのことなので、残るはあと1作。

ラストにはどのような作品が登場するのか、今から首をなが~くして待ちたいと思います。