[感想]プリンセス・トヨトミ/万城目学

4167788020

プリンセス・トヨトミ
万城目 学 著/文春文庫
お薦め度:★★★☆☆

このことは誰も知らない―四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官三人と大阪下町育ちの少年少女だった。秘密の扉が開くとき、大阪が全停止する!?万城目ワールド真骨頂、驚天動地のエンターテインメント、ついに始動。特別エッセイ「なんだ坂、こんな坂、ときどき大阪」も巻末収録。(文庫裏表紙より)


な、何なのだろう、この不完全燃焼な感じは。

初の万城目作品です。

途中まではそりゃもう面白くて、暇さえあれば本を手に取っていました。

アウトフォーカスで入って、次第にピントが合って行くかのようにして、様々な事実が少しずつ明らかにされて行くあたりは、さしずめミステリ小説のようでもあって、

それで、それで? それからどうなるの?

と期待感で一杯だったのです。

ですが。

その期待感のままに突っ走って、すべてを読み終えて、そうして心の中に残ったのは、徒労感というか、疲労感というか、何とも言えない不完全燃焼の感覚でした。

「大阪全停止」などというとんでもない設定の本書は、それでもひょっとしたらあり得るかも、と思わせるようなストーリーで進んで行くのですが、その「ひょっとしたら」の思いが、読めば読むほどに「やっぱりありえない」の思いにかき消されて行く無念さ。

どうせとんでもない設定ならば、日本政府と戦う(武力的な意味でなく)くらいのことがあってもいいと思うのですが、そこまで話は大きくならず、何だかわけのわからないうちに、こじんまりとまとまってしまうのです。

あまりに期待を持って後半部分に突入していたがために、えぇ~、そこでそうなって、それで終わっちゃうの?と肩すかしを食ってしまったのは、返す返すも残念です。

文庫裏表紙にあるような「驚天動地のエンターテインメント」に徹し切れていなかった印象です。

「父親」だとか「息子」だとか「大阪の女」だとか、そういうのは削ってでも、大阪全停止のとんでも話を全力で盛り上げて欲しかったな、と。

ああ、こうして感想を書いている今になっても、このことばかりを思ってしまいます。

途中までが面白すぎたために、残念感も大きくなってしまった作品でした。