[感想]動物翻訳家/片野ゆか

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「動物翻訳家」というタイトルだけを見ると、何やら動物の出て来る小説のようなイメージなのだが、サブタイトルに「心の声をキャッチする、飼育員のリアルストーリー」とあるように、ここでいう動物翻訳家とは、動物の思いや考えを理解(翻訳)し、彼らが幸せにすごせる環境を整える飼育員さんのことを言っている(らしい)。

登場するのは、埼玉県こども動物自然公園のペンギン、日立市かみね動物園のチンパンジー、秋吉台自然動物公園サファリランドのアフリカハゲコウ、そして京都市動物園のキリンの4つの事例だ。

自分の担当動物と真摯に向き合い、彼らが何を考えているのかをあらゆる角度から観察、そして想像し、改善に改善を重ねて行く飼育員さんたちの姿はとても感動的だ。

本書を読みながら、ついつい家のペットの猫のことを考えてしまい、

ここまであの子のことを考えたことがあったかな?

と少し反省モードになってしまったくらいだ。

動物との深い絆と信頼関係があっても、飼育員さんは動物たちに決して隙を見せることはできない。ちょっとした油断が大きな事故に繋がることもあるのだ。

理解しているつもりでいても、相手は野生動物だ。

ペットの猫ですら「犬は感情豊かでわかりやすいけど、猫はよくわからないなぁ」なんて思うくらいなのだ。ましてやキリンやチンパンジーなどの野生動物の心の中を読むことはどれほど難しいことだろう。

飼育員さんたちの努力にただただ感銘し、そうしてそんな飼育員さんに出会えた動物たちに「良かったね」と声をかけてあげたくなって来る。

動物園が好きな人はもちろん、動物たちがかわいそうだから動物園はあまり好きじゃないと思っている人にもぜひとも読んでもらいたいお薦めの本。