[感想]塗仏の宴(宴の支度・宴の始末)/京極夏彦

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塗仏の宴 宴の支度
塗仏の宴 宴の始末
京極 夏彦 著/講談社文庫
お薦め度:★★★☆☆

「知りたいですか」。郷土史家を名乗る男は囁く。「知り―たいです」。答えた男女は己を失い、昏き界へと連れ去られた。非常時下、大量殺戮の果てに伊豆山中の集落が消えたとの奇怪な噂。敗戦後、簇出した東洋風の胡乱な集団六つ。十五年を経て宴の支度は整い、京極堂を誘い出す計は成る。シリーズ第六弾。(文庫裏表紙より)


レギュラー陣総出の超長編は、頭の中がぐっちぐちゃ。

京極堂シリーズ第6弾ともなれば、長いのはもう慣れっこで、それよりもむしろ、作品の終盤が近づくにつれてもっと読んでいたい、この世界観の中に浸っていたいと思ったものでしたが。

さすがにここまで来ると、長い、長すぎる。

いや、長すぎるというよりも、いたずらに登場人物が多すぎるのです。シリーズ1作目から読んでいるので、レギュラー陣たちは頭にしっかりと入っているのですが、その他わらわらと出て来る人物たちにいたっては、ついに把握しきれませんでした。

読んでいる最中に唐突に出て来る人物に、はてこの人誰だっけ? 前に出てた人? と思うこと数度。

もう少し整理して、いらない人物たちを削っていったなら、物語もすっきりとしてわかりやすくなったと思うのですが。

もちろん、沈着冷静な京極堂の格好良さは相変わらずで、さらに今作では変人探偵の榎木津がやけに頼もしい。言葉を交わさずとも京極堂と通じ合っているを見て、すっかり榎木津を見直してしまいました。

いくつもの宗教団体が登場し、それらの団体に怪しげな人々が関与し、さらにはレギュラー陣がそこここで周到に準備された計画に巻き込まれ……、う~ん、おおざっぱな構造はわかったのですが、細かいところまでは理解しきれず。

また、登場人物たちが多すぎたためか、思わせぶりな占い師も、多くの信者をかかえる教祖様も、催眠術を自在にあやつるあの人もこの人も、誰も彼もがいわくありげなわりには、扱いがあっさりとしすぎていたのもやや不満。長いなら長いなりに、もう少し厚みを持たせて欲しかったな、と。

読み終えてすぐ感想を書き始めたので、心の中でまだぷすぷすと消化不良でくすぶっているものがたくさんあるのですが、もちろん作品自体は悪くはありません。

ただ、いつもの京極堂シリーズと比べたら、ちょっと面白くなかった、そういうことです。あくまでも「いつもの」と比較しての話ですので、その辺は誤解なきように。