[感想]ハッピー・リタイアメント/浅田次郎

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ハッピー・リタイアメント
浅田 次郎 著/幻冬舎文庫
お薦め度:★★☆☆☆

定年まであと四年のしがない財務官僚・樋口と愚直だけが取り柄の自衛官・大友。二人が突如転属を命じられたJAMS(全国中小企業振興会)は、元財務官僚の理事・矢島が牛耳る業務実体のない天下り組織。戸惑う彼らに、教育係の立花葵はある日、秘密のミッションを言い渡す。それは汚職か、横領か、それとも善行か!?痛快娯楽「天下り」小説。(文庫裏表紙より)


これが浅田ワールドなら、私は苦手かもしれない

浅田次郎さんの作品と言えば「蒼穹の昴」と「地下鉄(メトロ)に乗って」くらいしか読んだことのない私としては、生粋の浅田ファンには申し訳ないのですが、この作品はあまり楽しむことができませんでした。

元財務官僚と元自衛官、そしてJAMSの女性秘書たちの痛快なストーリー展開をただただそのまま楽しむことができたのなら、感想はまた違ったのかもしれません。

が。

天下り組織を扱ったということで、社会風刺的な内容を期待してしまったのですね。もちろん、天下り官僚たちの怠惰な仕事ぶり(?)なども描かれてはいるのですが、いささか不十分。

だったら、横領もどきの事件を扱ったクライム小説かと思いきや、こちらも緊迫感に欠けてしまう。ラストもなんだか今ひとつしっくり来ず。

そして、すべてを読み終えて初め理解したのが、これは「娯楽小説」だったのだな、ということ。裏表紙に「痛快娯楽「天下り」小説」と書いてあるのだから、さっさと気づけ!といったところなんですが、なぜか勝手な思い込みで読書を続けてしまいました。

最初の立ち位置が違ったものですから、結局読後感もはかばかしくなく。だったら、最初から娯楽小説を意識しながら読んでいたらどうだったのかと考えて見ると、それはそれでやっぱりなんだかな、う~ん、といったところです。

娯楽小説というジャンルが、ひょっとしたら自分には合わないのかもしれません。

そんなわけで。すいません。

だからたいていの人間は、自分が最も華やいでいた時代の姿を心の鏡にとどめて、誰の目にもそう写っているにちがいないと誤解している。