【感想】幻想日記店/堀川アサコ

幻想日記店

幻想シリーズ3作目は、悩みを抱える人に他人の日記を売る日記堂が登場

「幻想郵便局」(⇒感想ここ)「幻想映画館」(⇒感想ここ)に続く幻想シリーズ第3弾。

悩みを抱えて来店した人たちに、その悩みを解決するに役立つであろう日記を売る店「日記堂」。店も不思議なら、店主である猩子さんもどこか不思議でつかみどころがない。

来店者たちのお悩み解決が、物語にスパイスを与えつつも、その中心にあるのはつねに猩子さんの存在。猩子さんとは何者なのか。なぜ、日記堂などという風変わりな店を運営しているのか……。

シリーズ1作目はとても幻想味の強い作品だったのだけれども(そして私のシリーズ一番のお気に入りでもある)、2作目、3作目と徐々に幻想味は薄れて行き、本作ではミステリー色のほうがかなり強くなっている。

また、読んでいて感じる不思議な感覚も、これまた幻想小説とかマジックリアリズムといった範疇ではなくて、よりファンタジーに近づいている。

なので、ファンタジー色の強いミステリーとして読めば、これはこれで楽しめるのもかもしれない。けれども、幻想シリーズの3作目として、現実と幻想とがじわりと滲んで、足元がぐにゃりとゆがむかのような、幻想的な感覚を期待していると、やや肩すかしをくらうことになる。

そんなこんなで。

幻想シリーズは1作目が抜群に面白かったな、と改めて認識した次第。

お薦め度:★★★☆☆

「人生万事、選択の自由は自分にあるのだと、息子にどう教えたものでしょうか」「人生万事、選択の自由は自分にあるのだと、ご自身がお知りになることです」

できるだけ手間をかけた料理をたくさん作り、それを食べさせることで、この世の問題の大半は解決する。それが、母の信条だった。

「心配だから」の一言で、人の行く手を阻むのは、思いやりなのか身勝手なのか――。