[感想]真夏の方程式/東野圭吾

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真夏の方程式
東野 圭吾 著/文藝春秋
お薦め度:★★★☆☆

夏休みに美しい海辺の町にやってきた少年。そこで起きた事件は、事故か殺人か。少年は何をし、湯川は何に気づいてしまったのか。


福山雅治の姿がちらちら浮かぶガリレオシリーズ

東野さんの作品は、もうずいぶんと前に数冊読んだきりでした。

苦みのある読後感がどうにも苦手でずっと敬遠していたのです。けれど「真夏の方程式」は福山雅治が演じたガリレオシリーズの最新作と聞き、本当に久しぶりに東野作品に手をのばすことになりました。

東野作品の人気は年々高まるばかり。それだけ彼のファンが多いということでしょう。年に数冊しか本を読まない叔母が、彼の作品は面白いと言います。図書館ではいつもと桁違いの冊数が入荷し、これまた桁違いの予約が殺到します。本屋に行けば新刊から文庫まで、有名どころの東野作品が平積みされています。映画やテレビでも原作がたびたび映像化され、そのたびに東野作品の知名度が積み上げられて行くように感じます。

けれど、やっぱり私はダメでした。
どうも東野さんの作品とは相性が悪いようです。

現実には、陽向の人生も、日陰ばかりの人生も、浮き沈みの激しい人生も、反対に穏やかな人生も、ありとあらゆる人生があるでしょう。そうして、その中には忘れてしまいたいほどの辛い思いや苦しい過去もあるはずです。

けれど、だからこそ、フィクションの世界では心の温まるような、あるいは爽やかな風が吹き抜けるような、そんな世界を追い求めてしまいます。

対して、東野さんの作品は、読後感が重いものが多いように感じます。

犯人が誰かということよりも、人がどうして犯罪者となってしまったのか、その心のありよう、言い換えるならば人間なら誰しも持っているであろう闇の部分をするどく描き出しているがために、見たくもない現実を見せつけられてしまったかのような、もっと簡単に言うならば、読まなければよかったと思うような、後悔にも似た念が常につきまとってしまうのです(なんて偉そうに言うほどの作品を読んでいるわけではありませんが)。

青空の広がる夏休み、玻璃ヶ浦のきれいな海、小学5年生の少年。

これらのお膳立てがあったので、何とはなしに爽やかに終わったかのような錯覚に陥ったりもするのですが、よくよく考えてみれば「あの人」は貧乏くじばかりの人生であったよな、と思うと途端にやりきれない気持ちになります。

終わりよければすべて良し、とするには人生は長すぎると思うのは私だけでしょうか。