[感想]朝霧/北村薫

 朝霧 (創元推理文庫)

朝霧
北村薫/創元推理文庫 お薦め度:★★★☆☆

前作『六の宮の姫君』で着手した卒業論文を書き上げ、巣立ちの時を迎えたヒロインは、出版社の編集者として社会人生活のスタートを切る。新たな抒情詩を奏でていく中で、巡りあわせの妙に打たれ暫し呆然とする《私》。その様子に読み手は、従前の物語に織り込まれてきた糸の緊密さに陶然とする自分自身を見る想いがするだろう。幕切れの寥亮たる余韻は次作への橋を懸けずにはいない。(文庫裏表紙より)


「円紫師匠と私」シリーズ第五作。
一作目の空飛ぶ馬 からずっと、シリーズが文庫化されるのを待ちわびつつ読み続けてきた私としては、実のところ本作はかなり物足りない。

変に身構えることもなく、ホッとリラックスしつつ、優しい気持ちで読めるということにおいては、今までの「円紫師匠と私」シリーズの流れを汲んではいるものの、ミステリ色はかなり後退しており、「小説」としての印象のほうが強い。

というより、あまりにもミステリ色が薄くなってしまっているので、円紫師匠の冴えわたる推理も、物語の中に無理やりねじこんだかのような印象が強く、自然な流れをかえって阻害してしまっているかのように感じる部分もあった。

そんなこんなで、★3つ。