[感想]巷説百物語/京極夏彦

 巷説百物語 (角川文庫)

巷説百物語
京極夏彦/角川文庫 お薦め度:★★★★☆

怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧―。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。小豆洗い、舞首、柳女―彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか―。世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾。(文庫裏表紙より)


楽しく読むことができた(^^) 久しぶりに堪能した職人技といったところか。

近頃は、小説の設定の奇抜さとか、書いた人の年齢が若いから云々とか、とかく小説そのものから離れた部分で作品が評価されてしまいがちだけれども、こういう作品に触れると、プロが作った物語は違うなぁ、と思う。 宮部みゆきが大好きで、彼女の時代物もずいぶんと読んだけれども、それよりも京極の描く時代ミステリ(?)である本作のほうが、はるかに面白い。 妖怪・物の怪……といった、誰もが恐れはするけれども多分に好奇心を抱かずにいられない小道具をたくみに配置しつつ、世直し風のストーリーあり、巧みなしかけあり、種明かしあり……と読み手を飽きさせることがない。

読後にふんわりと訪れる爽快感もまた心地よい。
ここで泣かせよう、ここで感動させようというあざとさがないのも、この作品を気に入った理由のひとつである。 続きのシリーズもぜひ読んでみたい。