[感想]パズルレディと赤いニシン/パーネル・ホール

パズルレディと赤いニシン (ハヤカワ・ミステリ文庫)

パズルレディと赤いニシン
パーネル ホール (著), 松下 祥子 (翻訳)/ハヤカワ・ミステリ文庫
お薦め度:★★☆☆☆

酒、煙草、ブリッジ、そしてミステリを愛する“パズルレディ”ことコーラは、新聞にパズル連載を持つ有名人。ある日、町いちばんのお金持ちであるエマが死に、遺言状には、エマの遺したパズルを解いた者に莫大な遺産を譲り、その審判をコーラに委ねると書いてあった。だが、相続候補者のひとりの他殺体が発見され、コーラはパズルと殺人、双方の謎解きに挑戦することに!(文庫裏表紙より)[原書:Last Puzzle & Testament (Puzzle Lady Mysteries)


一作目が良かったので、続けて読んだ第二作目。

同じ作家によるスタンリー・ヘイスティングズシリーズは、主役が探偵(といっても事故調査専門だが)なので、ある意味どんな事件でも取り扱うことができるが、このシリーズでは「ジグソーパズル」が鍵となっているので、これからどうやってジグソーパズルとからめたシリーズを書き続けて行くのだろう?と作者でもないのに、ちと不安だったりもするのだが、今回はパズルを解いた者が莫大な遺産を相続することができる──という設定から物語が始まる。

コージー・ミステリに分類されることもある作品だが、今回は推理……というか、トリックそのものにもちょっとした仕掛けがあって、ただ何となく事件がおきて、そうしてなんとなく解決してしまった前作よりも、格段にストーリー展開はグレードアップしている。

が、しかし。

訳者さんが一作目と違うのである。当然訳しかたも違う。
いきなりこの二作目から読み始めた人には違和感がないかもしれないが、一作目を読んでいたものにとっては、キャラクターの個性が半減してしまっているように思えてならない。

前作では、軽快な会話がその魅力のひとつでもあったのだが、この作品では会話文にぎこちなさがつきまとい、キャラクターが魅力的に見えてこないのだ。パズルレディこと、コーラ伯母さんにしても、前作では、些細なことにはこだわらない、大胆と言えば大胆、ルーズと言えばルーズといえるような、微妙、かつ程よいバランスのキャラクターとして描かれていたのだが(泥酔状態に近いシーンが数多く描かれているにもかかわらず、愛すべきキャラだった)、この作品では、単なるわがまま、勝手気ままな伯母さんのイメージばかりが優先してしまう。そのため、美人だけれどもやや神経質で繊細、かつ聡明な姪のシェリーが、伯母の世話係のようにしか見えて来ない。

また、クロスワードパズルが絡むということもあって、ちょっとひねりの聞いた言葉のやりとりが魅力であったはずなのに、そういった部分はきれいさっぱり消し飛んでいる。前作では「こりゃあ、適当な訳文(単語)を見つけるのに相当苦労したろうなぁ」と思わずにはいられない箇所が何箇所もあったのだが、今回はほとんどなし……というか、映画の字幕よろしく、所々意味さえ不明な場面も(~_~;)

たいして英語力のない人間が、訳者さんをけなしてはいけないよなぁ、と思いつつ、でも、できることなら三作目は前の訳者さんでお願いしたいです、はい。