[感想]ゼロになるからだ/覚和歌子

 ゼロになるからだ

ゼロになるからだ
覚 和歌子 (著)/徳間書店 お薦め度:★★★★★(←ちょっとおまけ)

生きている不思議と死んでいく不思議を往き来する。21世紀の巫女が優しくうたう祈りのような物語、寓話のような物語。「千と千尋の神隠し」主題歌の作詞者による第1詩集。(C)「MARC」データベース


掲示板で紹介いただいて、手にとった本。
「千と千尋の神隠し」ファンの方は、とっくの昔に知っていた作品のようだが、宮崎アニメがどーしても苦手な私は、紹介でもしてもらわなかったら、たぶん一生手にすることがなかったんじゃないかと思う。

小説ならまだしも、詩集というくくりは、それほどまでに私の読書からは遠く離れているような気がする。

この詩集は大きく三部にわかれている。第一部は、短編小説とも思えるような、それなりのまとまりとストーリー性を持った作品が集う。もっとも、ストーリーといっても、夢と現の境をゆらゆらしているかのようなものばかりで、ひどく捉えどころがない。捉えどころがないのだけれども、そのつかみ所のない雰囲気が、これまた絶妙でなんとも心地よい。

第二部は、私がイメージする「詩」そのもの。
短い文章たちがテンポよく並ぶ。

そうして第三部。
再び、短編のような雰囲気をもった作品が並ぶのだが、こちらは第一部と違い、幾分現実色が濃くなって来る(……とはいえ、やはり幻想的)。で、第一部、第二部と読み続けていた私は、あぁ、また第一部のような作品が続いて、この作品集自体がちょっとしたまとまりを持ったところで終わるんだな、なぁんて、先入観を持って読み進めていたら。

いやはや。第三部ラストの「拝啓 陶芸家様」で泣きました(ToT)

第一部、第二部、第三部と、一見何の関連性もないような話が続くなか、ラストの「拝啓……」で、この詩集自体が、ストン、と落ちるところに落ちたという感じ。で、エピローグともいえる「アプローズ」へと続くわけだが、これがまた、絶妙。「アプローズ」だけを抜きだして読んだなら、これまたどうってことはないのだろうけれど、一連の流れの中で読むと、これがもう、憎いまでに心にしみる。

とまぁ。
書かれている内容もさることながら、とにかく全体を通して不思議な詩集である、としか言いようがない。

詩集というだけあって、読み通すのにさほど時間はかからないから、興味を持った方はぜひ一読を。

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