[感想]R.P.G./宮部みゆき

 R.P.G. (集英社文庫)

R.P.G.
宮部みゆき著/集英社文庫 お薦め度:★★★☆☆

ネット上の擬似家族の「お父さん」が刺殺された。その3日前に絞殺された女性と遺留品が共通している。合同捜査の過程で、「模倣犯」の武上刑事と「クロスファイア」の石津刑事が再会し、2つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、癒しなのか? 呪縛なのか? 舞台劇のように、時間と空間を限定した長編現代ミステリー。宮部みゆきが初めて挑んだ文庫書き下ろし。(文庫裏表紙より)


推理小説として読むと、謎解きの部分が物足りないという感想をちらほらと見かけるこの作品だが、私はそれよりも何よりもまず、擬似家族というものが、どうも上手く理解できなかった。見ず知らずの他人どうしが、ネットの中で「お父さん」「お母さん」「こども」の役割を演じ、あたかも家族のようなやりとりをメールなどを通じて行っているのだが、何だか私からしてみると、そういうのって、不気味以外の何ものでもない。

「ネットおかま」なんて言葉に象徴されるように、ネットの世界では性別も年齢も国籍も関係ない。けれどもだからといって、ネットの中に家族が成立してしまうものだろうか。現実の家族が上手く機能していないから、ネットの中に理想の家族を探す……。

たしかにあり得ないことではない……かもしれない。けれど、この作品を読んでいて「確かにそういうことってあるかもねぇ?」という、感覚にいたることはついになかった。驚くほどにたくみな人物描写を披露し続けてきた宮部みゆきの作品にしては、あまりにも人物の描かれ方が薄っぺらいのである。

擬似家族がもととなって起きる殺人事件。犯人の殺人にいたる心理も、とってつけたかのようなもので、どうにもしっくりと来ない。

中途半端な長さの作品だったので、文庫書き下ろしという形になったということだったが、物語そのものも、なにやら中途半端になってしまった印象はいなめない。次作に期待!!

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