[感想]One author, One book ― 同時代文学の語り部たち/新元良一

 One author, One book ― 同時代文学の語り部たち

One author, One book ― 同時代文学の語り部たち
新元良一/本の雑誌社 お薦め度:★★★☆☆

ストーリーテラーたちの「声」。ジョン・アーヴィング『ガープの世界』から村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』まで27人へのインタビュー&ブックガイド。翻訳小説中心に、ちょっとない取り合わせの著名作家たちが語る小説作法と名作誕生の道程。


ニューヨーク在住のライター、新元さんによる現代英米文学のブックガイド……。一応はそういうことになるのだろう。けれども、著者自身のインタビューを盛り込んだ内容になっているので、どちらかというと「小説作法」としての側面を色濃く感じた。

翻訳家柴田元幸氏のアメリカ文学のガイドブックを読むと、次から次へと読みたい本だらけになってしまって「あぁ?、もうどうしてくれるんだぁ?」ということになるのだけれども、この本では、なぜかそういう衝動に駆られることはなかった。ひとりの作者につき、ひとつの作品をその創作の舞台裏までをも含めて深く解説しているので、何とはなしに読んだ気になってしまうからかもしれない。(決して、ネタバレしているわけではない)

もしくは。
柴田氏は、無理にテーマや教訓といったものを小説から見出そうとしないというスタンスなので、ならば自分で読んでみなくっちゃ、と知的好奇心がむくむくと頭をもたげるのだけれども、新元さんのほうは、テーマやその意図をきっちりと見出した上で解説をしているので、ある意味、満腹感を覚えてしまうのかも。

いずれにせよ「海外小説」「翻訳小説」と言えば、そのほとんどがミステリーや推理物で占められてしまう最近の出版事情の中にあって、現代英米文学の、特に文芸系(意外なことに新元さんは「純文学」という言葉を使っていた)の作品を知るには、格好の書物であることは間違いない。