[感想]六番目の小夜子/恩田陸

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NHKでドラマ化された時は、ホラーとミステリー部分ばかりが強調されていたようですが、原作を読むとそれに付け加えて、学園ドラマ的要素が色濃く流れているのがわかります。

作者がどこまで意図していたかはわかりませんが、学校に伝わるミステリアスなゲーム展開に緊迫感を覚える一方で、自分自身の高校時代を回想しなくてはいられないようなノスタルジックな雰囲気が、そこここに顔を覗かせています。

大学受験を控えた主人公たちの、刹那的とも言える日々の積み重ね。淡い恋心。心に染みる卒業式。そして何よりも、脳裡にこびりついて離れないほどの強烈な印象をもたらしたあの学園祭のシーン。

夜遅くまで文化祭の準備に明け暮れた高校時代。年に一度の文化祭には、いつもと違う何かが起こるような気がして、訳もなくそわそわしたり。必ず終わりが来ることを知りながらも、そんなことなど気付かないふりをして、必要以上にはしゃいで見せたあの頃。そんな経験のある人ならば、きっとこの物語の良さがわかると思います。

ちなみに、テレビドラマと原作とでは、内容がかなり違います。ハッピーエンド主義の私としては、原作のほうが断然好みなんですが、謎が謎のまま中途半端に残されてしまった部分が少なからずあるのがちょっと残念。ドラマのほうではすべての謎にきっちりと決着がつけられていますが、そのせいで主人公やら物語そのものの設定やらが変わってしまったのでは?と想像しています。

お薦め度:★★★★☆