[感想]ラジオデイズ/鈴木清剛

120105

えっ、うっそでしょ?!!!
っていうのが、読み始めた一番最初の感想。とにかく変。何が変って、文章が変。人称が変。言葉づかいが何だか変……。中でも一番気になったのは、人称の問題。普通小説ってのは、一人称の「僕・私」が主人公のお話か、鈴木なら、鈴木といった固有名詞で表現されるような三人称で進行する話に大別されはず。(まれに「あなた」が出てくる二人称ってのもありますが)

で、この作品なんですが、主人公はとりあえずカズキという青年。となるとこれは歴とした三人称の小説なんですが、感情表現、その他もろもろの部分は、一人称そのままなんですね。だから、慣れないうちはものすごい違和感を覚えてしまうのです。この辺は作者ご本人も認めていてあとがきで「一人称なのか三人称なのかよくわからないし、言葉のはめこみ方もところどころおかしいし、文法だって間違えているかもしれない。国語の先生が読んだら怒りだしちゃうかもしれないし、へらへら笑い出してしまう人だっているかもしれない」と書いています。

だったら、これはどうしようもない小説なのか?というと、これが違うんですねぇ。すっごくいい。人称なんかの技術的問題をクリアしてたら、もっともっといいような気もするんですが、とにかく読み進めて行くうちに、そんなのが気にならなくなってしまう。

あらすじ的には、六畳一間に男二人の生活っていうと、何だかむさくるしい感じがするし、そこに親切な彼女のチカ……なんて来ると、ややこしい人間関係が出て来て……?と想像してしまうのですが、これはもっとあっさりとした、コンソメスープのようなストーリーです。(池澤夏樹の「スティル・ライフ」をちょっと思い出しました)。21歳になる主人公の青年が感じはじめる人生に対するそこはかとない疑問・あせり。そのようなものが上手く表現されています。

三十代を過ぎてしまうと、人生にちょっとした諦めなんてものが混じってきてしまうものですが(笑)この主人公はなんたって二十代。ああ、若いよな、とついつい思ってしまいます。

99年に三島由紀夫賞を受賞した「ロックンロールミシン」という作品もあるようなので、そちらもぜひ読んでみたいと思っています。ただし文庫になってから、ね(^^ゞ

お薦め度:★★★★☆