【感想】すべてがFになる/森博嗣

すべてがFになる

お薦め度:★★★☆☆

森博嗣さんの「すべてがFになる」を読みました。

ミステリーが好きだ、好きだと言っておきながら、何を今更の「すべてがFになる」なわけでして、読もうかどうしようかと、多少の迷いがあったのも事実です。

ですが、ですね。

あまりにも有名な作品で、お薦めミステリー××選!なんてものがあると、常連のようにして顔を出したりもするものですから、読書に早いも遅いもなかろうと、覚悟を決めて手に取りました。

あっ、手に取ったのはkindleの端末ですけどね。

一度読んだら忘れられない

この作品がなぜこんなに長いこと面白い作品として取り上げられ続けているのかわかりました。

もうとにかくインパクト強すぎ。

物語が始まって少しすると登場する死体。両手両足を切断された上に花嫁衣装を身にまとい……さらにはワゴンの上に乗せられて、そのワゴンがコンピューター制御で自走までしてしまうという、もうこれでもかってくらいの状況です。

もうひつとつ付け加えるならば、この恐怖の自走の瞬間には、研究所内の照明が鼓動のように明滅を繰り返すという、オカルト映画さながらの演出まで加わっているのです。

決してホラー小説ではありません。でも、この死体の登場場面を読んだ瞬間、そのイメージが強烈に頭に焼き付いてしまって、2、3日は怖い夢ばかり見てしまったほどです。

トリックのほうもこれまた斬新で、うぉー、なぬっ、ひぇーってな感じで、これまたしばらくの間忘れることができそうにありません。

お薦めのミステリーは?と聞かれた時、たびたびこの作品名があがるのは、かようにインパクトが強いからではなかろうかと、ワタクシ、ほぼ確信しております。

読んだその時には、これは面白い!と思ったほどのすぐれた作品でも、時間がたつと印象ってのは徐々に薄れてしまうものです。「お薦めの?」と聞かれた時にぱっと頭に思い浮かぶ作品、それほどに印象に残る作品が、結局のところお薦め作品としての地位を不動のものにするのだと思います。

思いの外爽やかな読後感

手足のない死体とか、びっくり仰天のトリックとか、それだけ聞くと後味が悪そうな気がするんですが、実際に読んでみると、まったくもってそんなことはありませんでした。

主人公のひとりである西之園萌絵の天然キャラと、もうひとりの主人公の犀川創平の中途半端なクールキャラが、物語がシビアになりすぎるのを防いでくれています。

ただひとつ難を言うならば、犀川がヘビースモーカーすぎ。18年前に書かれた小説ってことで、その当時は今ほど禁煙が浸透してなかったってこともあるのでしょうが、とにかくあっちでも、こっちでも、そっちでも、タバコを吸っています。いわゆるチェーンスモーカーってやつですね。

この作品の中でいったい何本のタバコを吸っているか、数えてやろうかと思うほどの吸いっぷりでした。シリーズが進むほどに、タバコの本数が減ってくれるとうれしいのですが。禁煙とかしてくれないかな。

S&Mシリーズ

「すべてがFになる」で幕を開けた犀川創平と西之園萌絵のシリーズ作品。S&Mシリーズと名付けられているんだそうです。

何がS&Mなんだ?

と思ったら、創平のSと萌絵のM……、いや、いいんですけど、仮にも助教授の犀川創平の「創平」のほうを使いますか?って感じです。「犀川」のSを使ったんだと思いたいんですが、wikipediaにはしっかりと「シリーズ名は主人公である犀川創平と西之園萌絵のファーストネームのイニシャル」とあるんで、創平&萌絵なんですね。なんかラノベみたいです。

それはともかく。

1作目を読み終えたんで、次は2作目となる「冷たい密室と博士たち」をキンドルでポチる予定です。

あっ、ちなみに、とっても有名な話のようですが。「すべてがFになる」はシリーズ4作目に予定されていた作品だそうです。ただ、編集部の判断で、インパクトの強さを優先して(うんうん、確かにインパクトはものすごい)これを1作目に持ってきたという経緯があるんだとか。で、本当の意味での1作目が「冷たい密室と博士たち」になるという。

ちょっとわかりにくいですが、まっ、出版された順に読んでいけば大丈夫ですね。でも、んんん、全部で10作品ですか。

はてさて、飽きっぽい私が何作目まで行けますことやら。