[感想]ロマンス/柳広司

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ロマンスタイトル
著/
お薦め度:★★☆☆☆

ロシア人の血を引く子爵・麻倉清彬は、殺人容疑をかけられた親友・多岐川嘉人に上野のカフェーに呼び出される。それが全ての事件のはじまりだった。華族社会で起きた殺人事件と共産主義活動家の摘発。そして、禁断の恋…。退廃と享楽に彩られた帝都の華族社会で混血の子爵・麻倉清彬が辿りついた衝撃の真実。(「BOOK」データベースより)


ミステリだと思わなければもう少し楽しめたかもしれない。

「今年度NO.1ミステリーの大本命!」などと帯に書かれてはいるものの、本作の主眼はどうやらミステリそのものにあるわけではなさそうです。

祖母が異国人ゆえに確たる自分の立ち位置を見いだすことのできない主人公の子爵・麻倉清彬の心の葛藤を軸として、昭和初期ゆえの退廃的な空気、華族社会というきわめて閉鎖的な空間、そういったものが、抑えた文体の中に描かれていています。

そこにスパイスのように加えられたミステリとしての味付け。

ミステリとして読むならば、動機もトリックも弱すぎますし、ましてや犯人があの人というのも正直なんだかなぁ、といった感じです。

けれども、普通の小説として読もうにも、主人公の麻倉清彬にはどうしても感情移入することができず、というよりも友人の嘉人にも、その妹の万里子にも、さっぱりと共感することができなくて、読んでいる間中、宙ぶらりんな心持ちのままでした。いっその思いに清彬の愛犬ヘクトルにもっと活躍して欲しいと思ったくらいです。

昭和初期の独特の空気感が好きな人ならばもっと違った感想を持っただろうと思うのですが、残念ながら私は駄目でした。