[感想]ネットのバカ/中川淳一郎

080608

小気味よい切れ味。ネット情報の発信者・受信者ともにためになる内容

タイトルの「ネットのバカ」から想像するほどに扇動的な内容ではなく、現在のネット社会の現状をわかりやすく解説している。


書かれている内容は言われてみれば、あぁなるほど、と納得できるようなシンプルなものが多いのだけれども、そのシンプルなものを感覚として朧気に感じているのと、こうてし文字として目の前に突きつけられるのとでは、かなり衝撃度が違う。

ネットがあろうがなかろうが有能な人は有能なまま、無能な人はネットがあっても無能なまま

はぁ、言ってくれちゃうね、ってなものだ。でも、たぶんこのことにはずっとずっと前から気づいていたと思う。はっきりとではなくて、潜在意識に近いようなぼんやりとしたレベルで。

これとは別に、自分の中でもう少しはっきりと自覚していたこともある。こんなにダラダラとスマホを見ていていいのだろうかという思うがそれだ。あいていた時間を使っているだけだからいいだろうと思う一方で、スマホを見ていなければ他にもっと何か得るものがあったのではないかという自己嫌悪に似た思い。

筆者はこんな私の思いを知っているかのごとく(というか、多くの人が思っているんじゃないかと推測するけれど。)バシッと一刀両断してみせる。少し長くなるが以下引用。

しかし本当にそのブログやツイッターを見ることは、あなたの時間の使い方として有意義なものなのかどうかは考えてみても損はないだろう。ネットに詳しい、ツイッターを使いこなしているということそのものが価値を持った時代であれば、何にせよネットとの接触時間が長いことにも今よりは意味があったのかもしれない。「ネットを使いこなすのが上手な人」の中には、その先行者利得を手にした人もいる。

ところが子供でもバカでもツイッターやフェイスブックをやる時代において、そうしたことには大した価値はない。この先、その傾向は強くなる一方であるのも間違いない。

各種ウェブサイトの運営が広告で成り立っているだけに、中毒の方々はサイト運営者にとっては重要な「お客様」だ。それでいてその人が他者と差別化できる情報を受け取れているかといえば、そんなこともない。誰かが「おもしろいよ」と貼ったリンクを辿っては、何千人もの人が「いいね!」を押しているネタに対して「いいね!」を押す。ヤフー・トピックスを見ては、他者と同じニュースを知る。そして、そのコメント欄を見ては、右傾化した意見や皮肉を見る。「同志」の存在は心地よい。そしてますます「中毒者」の中毒は深刻化する。

あのぉ、どこかで私のこと見てましたか?

とでも言いたくなるような内容だ。耳が痛い……、いやこの場合は目が痛いとでも言うべきか。

ネットとのかかわり方、時間の使い方、ちょっと考えよう……(ボソッ)。

こうして(私にとっては)辛辣な論調がもりだくさんなのだが、第4章にはいると一転、著者の経験を語る形で、ネットの情報発信者側の状況が明かされていく。

まがりなりにも【超弱小】ブログを運営している身としては、こちらの部分はふむふむとうなずきながら読むことになる。「バカ、エロ、バッシングがウケる」と言われて、はいそうですかとそれらの記事を書くわけにはいかないけれど、ネットウケする記事タイトルの付け方はなかなかに興味深かった。

もしも今後、記事タイトルが派手になったりしたら、この本の影響だと思ってください。たぶんそんなことにはならないだろけど。

その他にも「ネットでウケる新12ヶ条、叩かれる新12ヶ条」などもあるので、興味のある方はぜひ。

それにしても、ネットの世界って厳しいんだなぁ。あっちの超有名サイトとか、こっちのアルファブロガーとか、みんなみんなこんなに頑張っているのだろうかと、頭の中で疑問符をポコポコと生産しつつ読了。

スマホの時間が長すぎかもと思っている人、なんで自分のブログは話題にならないのかなぁと思っている人にお薦め。

ネットとは欲とカネが渦巻く世界なのである。決してバラ色の世界ではなく、とんでもなく激しい競争と生き馬の目を抜く過当競争があることは覚えておくべきだ。