[感想]鉄鼠の檻/京極夏彦

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鉄鼠の檻
京極 夏彦著/
お薦め度:★★★★☆

忽然と出現した修行僧の屍、山中駆ける振袖の童女、埋没した「経蔵」…。箱根に起きる奇怪な事象に魅入られた者―骨董屋・今川、老医師・久遠寺、作家・関口らの眼前で仏弟子たちが次々と無惨に殺されていく。謎の巨刹=明慧寺に封じ込められた動機と妄執に、さしもの京極堂が苦闘する、シリーズ第四弾。


禅僧だらけの1376ページ

箱根の山奥に、まるで結界でも張り巡らされたかのようにして忽然と存在する明慧寺。そこで修行する僧たちにふりかかる殺人事件。

禅寺とおぼしき明慧寺が舞台ということで、作中には禅に関するうんちくが次から次へと登場します。

あぁ、なるほど、と理解できる部分もあれば、正直難しくって何が何やらよくわからないまま……という部分もありました。けれども、だからといってこの作品がとっつきにくいかと言えばそんなことは全くなく、いつもの通り、あれよあれよと言う間の最終ページでした。

いかにも怪しげな明慧寺だとか、宗教用語を駆使して己の正当性ばかりを主張する禅僧だとか、奇っ怪な振り袖姿の少女だとか、読み手の興味をそらさない仕掛けがそこかしこにあるのはもちろんなのですが、やはりこのシリーズ最大の魅力は京極堂その人でしょう。

登場シーンは決して多くはありません。けれども事件が混迷を極め、もはやこれまでかと思う頃に登場する京極堂の頼もしさ、存在感。素敵すぎます。

偏屈な古本屋のおやじとしても描かれているのですが、そんなことはなんのその、黒装束に身を包んだあたりからはもう、読んでいてぞくぞく感が止まりません。

多くの犠牲が出たわりには読後感も悪くなく、すっきりとした終わり方になっています。