[感想]万能鑑定士Qの事件簿 I・II/松岡圭祐

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万能鑑定士Qの事件簿 I
万能鑑定士Qの事件簿 II
松岡 圭祐 著/角川文庫
お薦め度:★★☆☆☆

東京23区を侵食していく不気味な“力士シール”。誰が、何のために貼ったのか? 謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。凛田莉子、23歳――一瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった莉子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を身につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える!書き下ろしシリーズ第1弾。(文庫裏表紙より)


IとII 分冊ではなく一冊で出して欲しかったな。高いよ。

「万能鑑定士Qの事件簿 I」が275ページで540 円。「万能鑑定士Qの事件簿 II」が281ページで540円(2011年5月現在)。

このシリーズのラインナップを見ていると、シリーズ全作品を540円で統一したいという意図があるように見えます。ですが、シリーズ I と II はストーリーが続いているのですから、あえて分冊することなく一冊にして出版したほうが、読書にとって親切だったのではないでしょうか。

2冊で1080円か、と思うと何やらやけに高い買い物だったように思えて仕方ありません。

だったらその分内容が濃いのかと言えば、決してそんなこともなく。

1巻目は、シリーズの主人公となるであろう万能鑑定士 凛田莉子について多くのページがさかれています。小中高と成績のふるわなかった彼女が、いかにして優秀な鑑定士となったか。その過程はとても興味深く、次から次へとページをめくりました。

1巻後半に提示された謎に引きずられるようにして2巻に突入。つるつると一気読みを促すその筆致は誠に見事。ただその内容は、1巻を読んだ時に覚えた期待ほどではありませんでした。

何事にも聡明な凛田莉子が、一瞬にして自信を喪失するあたりは、ひとりの女性としての弱い部分が描かれていて良かったとする向きもあるようですが、私にはキャラが確立されていないように見えました。まるで別人、とまでは言いませんが、違和感を覚えたのは事実です。

気になる事件と謎についても、大きな風呂敷を広げた割には、その帰結点は思いのほか小さくて、しかも本当にそんなことで上手く行くのか?という疑問も相まって、さっぱり感じ入ることができませんでした。

さらに言ってしまえば、徐々に謎が解明されて行くのではなく、ラストで一気に解決という形をとっているため、極端に言えば、2巻の最初と最後さえ読めばすべてがわかってしまうという点に、物足りなさを感じたのも事実です。

ただし、読ませる作品であることは確かなので、出張時のおともなどにはいいかもしれません。