[感想]40歳過ぎたら、三日坊主でいい。/成毛眞

071101

40代以降の職業観・価値観の転換をうながす脱力系のビジネス書

真っ黄色な背景に、手書き風のタイトル文字と著者名、そして寝転がった人と猫のイラスト。表紙がかもし出す雰囲気からしてそうとうに脱力系の書籍だが、内容自体もほどよくゆるい。

なによりも著者自身が「本書で提案するのは、”全力で”脱力系の生き方を追い求めるための方法論である。」と言っているのだから、間違いない。


見城徹氏と藤田晋氏の共著「憂鬱でなれば、仕事じゃない(感想ここ)」を読むと、いくつになっても全力で仕事をしなければならないような錯覚に陥るが、よくよく考えてみれば語っているのは抜きんでてビジネスの才能を持った二人。人並みはずれた努力をしているからこそだと見城氏は言うけれど、おそらくそれだけではない―――。

といったようなことを気づかせてくれるのが本書「40歳過ぎたら、三日坊主でいい。」だ。

これをいったら身も蓋もないが、四十歳を過ぎた時点で部長になっていなかったら、その先の出世はないだろう。
優秀な四十代なら取締役になっているはずで、将来が安泰なのは最低、取締役以上だ。今後は部長であっても降格はあり得るし、五十五歳で肩たたきに逢うかもしれない。もはや部長など、たいした肩書きではなくなったのだ。

そうだ、そうなのだ。誰もが皆、スーパー優秀なビジネスマンになれるわけではないのだ。

特別な才能がなければ転職もままならない四十代以上のビジネスマンは「いかに会社で息を潜め、”外の世界を切り拓くか”である。ストレスがかからない仕事を選び、健康な身体を保ちながら、趣味やサイドビジネスに全力を注ぐ」べきだと著者は言う。

もっとも

仕事ができない部下は、いくら懇切丁寧に指導しても仕事ができるようにならない。部下が失敗したときに、成長に期待してあれこれ口を出すより、「まあ、仕方がないよね」とすっぱりあきらめるのだ。叱咤激励するなど息のムダ遣いであり、もっともやってはいけない行為である。

にいたってはいささか行き過ぎの感はあるが、インパクトのある言葉があちらこちらに散りばめられているからそこそ、読んで目から鱗の価値観の転換を経験することができるのだとも言える。

これが負け組サラリーマンの書いた書籍なら、自己弁護に終始した本だなあ、と思ったかもしれないが、著者の成毛さんは元マイクロソフト日本法人の社長という華々しい経歴をもった人物。いやが上にも説得力が増すというものだ。

本書に書かれたことを愚直に信じて、すぐにも「仕事を一生懸命している”ふり”」をするというのはちょっとどうかとも思うのだが、仕事上で体力的・精神的に疲れている人には、本書が肩の力を抜く良いきっかけになることは間違いない。

四十歳以上、かつ平凡の自覚があるすべての人にお薦め。