[感想]生命はなぜ生まれたのか/高井研

071001

面白い、でも難しい

出だしは良かったのだ。

著者が潜水艇に乗り、熱水が噴き出す海底を探索する。これから何が起こるのだろうとワクワクしながら読み進めた。そう、読み物としても面白かった。

けれど、本書は決して冒険譚などではない。最初からそのことに気づいていなければいけなかったのだけれども、しっかりと認識したのは、第2章に入ってから。著者が生命の起源にまつわる数々の仮説を説明し始めた頃だった。

むっ、これは手強いぞ。

そう気づいた時には、すでにちんぷんかんぷんな世界。恥ずかしながら、本書の言わんとすることの半分も理解できなかったと思う。

それでも最後まで読むことができたのは、著者の読みやすい文章と生物の起源を発見するのだというその情熱、そして情熱にともなう高揚感ゆえ。

夢中になってひとつのことを追求しようとするその姿は、見ていて心地良い。こてこての文系人間の自分だが、若い頃にこういう本に出会っていたなら、ひょっとして理系とか目指そうとしちゃったのかも、と思わせられたりもする。

自分だけが見える世界があるんだよな。でもそれは、それを見るために極限まで努力した人間にしか見えないんだよな。

なんて言われた日にはもう、著者に対して羨望の眼差しだ。

ただ本書は文芸書でも自己啓発書でもないのだから、こういう読み方は(自分で言うのも変だけど)何か違う気がする。サブタイトルにもある「地球生物の起源の謎」を理解してこそはじめて、本書を読んだ価値があるというものだと思うのだ……けど、まあ、楽しめたことは楽しめたから、それでもいい……、のかな……。