[感想]キャリアポルノは人生の無駄だ/谷本真由美

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一方的な決めつけがちょっと気になる

刺激的な言葉をチョイスし、断定的な論調で設定したテーマに切り込んで行くのが著者の持ち味なのだとしたら、もう谷本さんの本はよまなくてもいいや、というのが正直なところである。

キャリアポルノとは、著者が忌み嫌う自己啓発書のことを指した著者自身による造語で、本文中にこのように記載されている。

自己啓発書はそもそも字を読むのが嫌いで努力も嫌いな人向けなので、難しい字や言葉は使っていません。そもそも、「一分間」で大金持ちになりたい人が読む本なので、辞書で調べないと意味がわからないような言い回しや言葉は使っていないのです。言語のレベルはだいたい中堅の高校に通う高校生ぐらいのレベルです。

たったこれだけの文章でも、突っ込みどころが満載なのだが、更に読み進むと、著者の愛してやまない海外(欧州)と、著者が「脱出」したいとまで思った日本との比較がなされ

イタリアでは、

イギリスでは、

欧州では、

日本と違ってこんなことはない……云々、といった主張がくり返される。

著者の主観の域を出ていない話ばかりで、超ドメスティック、日本が大好きな私からすると、読んでいてあまり気分の良いものではない。

そもそも人生に無駄があってはいけないのか、とも思う。

長い人生の中においては、後では無駄だと思っても、その時は通過点として絶対に必要だったというものもあるだろう。髪の毛数本が変な方向にはねているだけで、必死になってドライヤーをかけた中高校生の頃なんて、今となっては笑い話だけれども、あのときはあのときなりに真剣だったのだ。

自己啓発書だって必要な時期があるはずだ。

確かにタイトルであおるばかりで中身の薄いものもあるが、きっちりとした作りのものだって、もちろんある。著者自身「仕事の合間をぬってたくさんのビジネス書や専門書、自己啓発書を読んでいた」時期があるというのに、どうしてこれらの書籍に寛容になれないのだろう。

読んだからこそ、無駄だとわかったということなのかもしれないけれど、あの頃には必要としていた、という発想にはならないものなのかな、と。

もっとも

女子トイレに入ると、さりげなく他の女性の化粧バッグや化粧品を観察している人が少なくなく、時折「あら、これ新しいですよね」「どこで買ったんです?」と聞いてくる人がいます。見ていない振りをしてじっくりと観察しているのです。次の週になると、その聞いてきた人は、もっと高いブランドのポーチを持っていたり、新作の口紅を塗っています。「負けたくないわ」と競争しているのです。

などと言ってしまうような自意識の高い人にとっては、すべての価値基準は今の自分自身ということなのかもしれない。

それに。先週訊ねて来た人が翌週にどんな口紅を塗っているのかをチェックしてしまうなんて、私にすればそんな著者のほうこそが怖いと思ってしまう。

いずれにせよ、本書を読んでわかったことは

「キャリアポルノは人生の無駄だ」を読むのは時間の無駄だ、ということ。それにつきる。