[感想]ジェノサイド/高野和明

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ジェノサイド
高野 和明 著/角川書店
お薦め度:★★★★★

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが…。(「BOOK」データベースより)


まだ5月だけれども、早くも2011年の傑作に遭遇!

本屋さんでそれほど目立っていたわけでもなく、どこぞの賞をとって華々しく宣伝されているわけでもなく、いたって控えめな存在ながら、いざ読んでみたら「圧巻」のひと言につきる傑作でした。

極秘任務のためにアフリカに赴く傭兵、日本の大学院生、そして自己保身に躍起になっているホワイトハウス周辺の人々。

最初のうちは物語の全貌が見えず、うまく物語の中に入り込めなかったのですが、やがて日本、アフリカ、アメリカの3つの舞台が複雑に絡み合い、それぞれの思惑が見え始めた頃、物語は一気に加速します。

まるでハリウッド映画のような緊迫感ある展開と、綿密な取材に裏付けされた丁寧な構成、緻密な描写とが相まって、途方もないほどのスケール感を覚え始めた頃にはもう、暇さえあれば本を読んでいる状態になっていました。

ライト感覚の小説も確かに楽しいのですが、「ジェノサイド」のような重厚な小説に出会うと、これこそが読書の醍醐味だと、つくづく感じさせられます。

あちらこちらに張り巡らせれた伏線は、決してそのまま放置されることなく、複雑に入り組んだ構成も破綻せず、これぞまさしく職人芸と言わんばかりの鮮やかさで、ラストにはすべてが収束して行きます。

読み終えてもなお、しばらくは興奮がさめやらないほどの、圧倒的存在感のある作品です。

重厚長大、硬質な作品ではあるのですが、油断をしているとふいに感動シーンがやってきて、涙目になったりしますので、そこの部分はご注意を。

それにしても、ここまで良質の作品が、なぜ本屋にどど~んと並べられないのでしょうか。もっともっと有名になって欲しい、いいえ、なるべき作品だと思います。

熱烈お薦め。読むべし♪

 

追記:その後本書は脚光をあびて、数々のタイトルを獲得♪

・このミステリーがすごい!2012年版 国内編1位
・週刊文春ミステリーベスト10 国内部門1位
・本の雑誌 2011年上半期ベスト10 1位
・2012年 本屋大賞 2位
・第65回 日本推理作家協会賞受賞
・第2回 山田風太郎賞受賞