[感想]なぜ本屋へ行くとアイデアが生まれるのか/嶋浩一郎

060801

本屋から得る気づき

博報堂ケトル社長と聞いてもピンと来ないかもしれないが、テレビでも何度となく取り上げられた書店B&Bを作った人といえば、ああそうなのか、と思う方も多いかもしれない。

さらに言えば、あの本屋大賞の創設にもかかわっているそうで、本との縁は浅からぬものがあるようである。


書店には「想定外」の出会いがあるという嶋さんは、ネット書店とリアル書店の違いを以下のように的確に表現している。

欲望には言語化された領域と、言語化されない(非言語化)領域があります。言語化された欲望は、すでに何が欲しいかわかっているから自分ひとりで探すことができますが、言語化されていない欲望は、誰かから気づかせてもらわないとわかりません。アマゾンなどのネット書店の強みを一言で表現するなら、「欲しいものが見つかる」、逆にリアル書店の強みは、「何が欲しかったのかがわかる」ということになるでしょう

なるほど確かにその通りで、手元に読みたい本がなくなって、何かいい本ないかなぁという時のネット書店の使えなさは、誰でも多少の経験はあるのではないかと思う。

お薦め書籍を眺めてみたり、ランキングをチェックしてみたりしても、さっぱり心に突き刺さって来るものがなく、ああだこうだと30分ほどを無駄にして、けっきょくその後すぐに本屋へ足を運んだなんてことも何度かある。

また、本書では本屋だけにとどまらず、本の素晴らしさそのものを説き、本の読み方、見つけた方、保管の仕方にまでページをさいている。

ただ、これらの部分に関しては、それほど目新しいことは書かれていない。それよりも一番興味深かったのは最終章の第5章「新しい書店のかたち」で、同じくB&Bの運営にかかわっている内沼晋太郎さんとの対談だ。

本屋への愛情が言葉の端々からあふれ出ているのかのようで、読んでいるこちらまでもがうれしくなってしまう。こんな本屋が家の近くにあったなら、どんなに楽しいだろうと思う。

今度街へ出る時は、今までとは違う本屋へちょっと足を伸ばしてみようかな、とそんな気分にさえさせられる好対談。

でも。

文脈棚を採用している本屋さんって……、近くにあったかなあ……。