[感想]工学部ヒラノ教授と七人の天才/今野浩

050501

こんなにも学問を愛する人たちがいるのかという驚き

東工大名誉教授の今野浩氏が、みずからを「ヒラノ教授」と称して語った学内の裏側と、東工大で過ごした17年間の間に出会った七人のちょっと(かなり?)変わった天才たちの話。

大学といういっけん身近そうに見えて、その実、世間とは大きな隔たりを持っている世界の、その裏側を知ることは楽しい。

学内のややこしい人間関係、派閥、いじめ……、セクハラならぬアカハラが大手をふってまかり通る閉鎖的な空間。

大学教授なんて仕事とは金輪際縁のない身としては、興味津々の内容ではあるけれど、少しでも教授というものを目指そうとしている人が読んだなら、思わず引いてしまいそうな鬱屈とした世界。

けれども、そんなドロドロの世界が、今野氏の軽やかな筆致で描かれているものだから、読んでいるこちらとしては、決して嫌な気分になることはない。それどころか、登場する人物たちのあまりにも突き抜けた変人ぶりに、時には何かのジョークかと見まごうほど。

天才という言葉の響きには憧れるけれど、天才として生きるのも大変なのだなと教えてくれる本書。

いやあ、ワタクシ、凡才でつくづく良かったです……と思いたい人にお薦め。