[感想]館島/東川篤哉

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館島
東川 篤哉 著/創元推理文庫
お薦め度:★☆☆☆☆

天才建築家・十文字和臣の突然の死から半年が過ぎ、未亡人の意向により死の舞台となった異形の別荘に再び事件関係者が集められたとき、新たに連続殺人が勃発する。嵐が警察の到着を阻むなか、館に滞在していた女探偵と若手刑事は敢然と謎に立ち向かう!瀬戸内の孤島に屹立する、銀色の館で起きた殺人劇をコミカルな筆致で描いた意欲作。驚愕のトリックが炸裂する本格ミステリ!(文庫裏表紙より)


今回はユーモアに乗り切れなかった

ユーモアミステリは嫌いではありません。というか東川篤哉さんは好きな作家さんで、今までに6冊読んでいて、この「館島」で7冊目になります。

ですが。今回の作品は、どうにも好きになれませんでした。

東川作品にありがちな登場人物、やや気が弱くどこか抜けている主人公の男性、気の強い女性の相棒、育ちがよく天真爛漫と言えばきこえはいいが、空気の読めないお嬢様。そして、執事もしくは使用人の男性。

名前が違ったり、職業や立場が違ったりで、微妙に区別はされているのですが、おおむねこのあたりの登場人物が中心となって、ユーモアを交えつつ本格ミステリばりの謎解きが展開される……というのがいつものお約束。

しかし、ユーモアミステリだからのひと言で片付けるには、今回の主人公の刑事相馬隆行はいささか行動が軽はずみ。すきあらば女性を襲おうかと考える刑事がどこにいるというのでしょう。

申し訳ないけど、全然笑えませんでした。

綾辻行人さんの「十角館」へのオマージュから出発したとおぼしき六角形の不思議な建築物は、瀬戸内の孤島、嵐による孤立という、いかにも本格好みのお膳立てが加わって、いよいよ事件が動き出すのか!?

と思いきや、まぁ、確かに動き出したわけではあるのですが、あまりにも軽妙すぎて、孤立しているという緊迫感をまったく感じることができませんでした。

東川さんの作品は、ユーモアと本格の絶妙なバランスが持ち味だと思っているのですが、本作に関してはユーモアが勝ってしまったような印象です。

建物のトリックに関しては、なかなか大ががりでそれなりに楽しめたのですが、殺人の動機に関しては、あまりに緩い動機すぎて、別の意味で驚愕の真実を目の当たりにした気分でした。ぐふ。

というわけで、本作に関してはあまり好きにはなれなかったのですが、東川さんに関しては今後の作品に思いっきり期待しています。