[感想]テレビが政治をダメにした/鈴木寛

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民主党政権の反省も踏まえてのメディア論

少し前に、休日の安倍首相がゴルフをしているシーンがニュースで伝えられた。きわめて好意的な報道で、映し出された首相の笑顔は、あたかもアベノミクスが順調に進んでいるかのような印象すら受けた。

けれど、これがもしも支持率の低い時であったなら、どれほどの悪意をもって報道されたことだろう。かくも人は、そしてマスコミは、多勢に流されるものなかと、この時思ったのを憶えている。


本書「テレビが政治をダメにした」は、そんなマスコミのあり方について、またマスコミを自身の宣伝に利用しようとする「テレビ政治家」について、忸怩たる思いを持つ参議院議員・鈴木寛氏が冷静かつ大胆に現状を分析したものである。

政治家は「TVタックル」に出れば選挙に強くなると言われているらしい。けれども、バラエティ番組化している「TVタックル」は、出演者たちの発言の順番までをも編集でいじり、視聴者が楽しめるような演出にばかり重きを置く。テレビ局の視聴率至上主義の負の側面だ。

テレビに映ることで知名度をあげようとするいわゆる「テレビ政治家」は、テレビカメラのある所ではさかんに発言を繰り返すが、ひとたびカメラがいなくなると、あっさりと姿を消す。

「朝まで生テレビ!」で活躍する田原総一郎氏は、本来ならば「矛盾と葛藤」の中でひとつひとつ個別に答えを求めていかなければならない問題に「イエスかノー」で答えることを要求し「見せ物として面白く仕立てていく」。

こうしたマスメディアを狡猾にあやつる術を持たなかった民主党が、やがて新聞やテレビの批判の矢面に立たされて行く様子は、つい先日までリアルタイムで見て来たばかりなので、鈴木氏のいわんとするところは、すべてとは言わないまでも、その大部分で腑に落ちる。

政治家も視聴率が取れる限りにおいて、消費の対象となる。消費し尽くせば、今度はバッシングの対象として叩きに叩く。バッシングすることでまた視聴率が稼げる。次に、別の政治家を持ち上げ、人気に陰りが出ると、バッシングを始める……。これでは、視聴率至上主義のテレビが政治家を殺すといっても過言ではありません。

の言葉は、政治に面白さを求めていた視聴者のひとりとして、誠にもって耳に痛い。

マスメディアと政治の関係に興味がある方はもちろん、結局、民主党って何がそんなにダメだったの?と思っている方にも一読をお勧めしたい。