[感想]蔵盗み 古道具屋 皆塵堂/輪渡颯介

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お薦め度:★★★☆☆

安定の皆塵堂シリーズ第3作目

物語の舞台はいつもの通り古道具屋の皆塵堂。

皆塵堂で扱う道具は、夜逃げや殺人などで残された曰く付きのものばかり。そんなものが集まれば、やっぱり出てくる幽霊たち。


今作で登場するのは、長年働いた大店の小間物問屋「橘屋」から、盗人の濡れ衣を着せられて追い出されてしまった益治郎。

どうにも納得がいかず、復讐心に突き動かされるようにして橘屋の周辺をうろうろしていると、盗人の甚左(じんざ)に声をかけられる。

他人を傷つけることなく盗みを行うと噂の甚左は、自分が橘屋に復讐をしてやる代わりに、益治郎には皆塵堂の蔵にあるお宝を探ってはくれないかと提案する。

そんなこんなで、皆塵堂で働くことになった益治郎は、ちっとも働かない店主の伊平次に呆れかえり、ちゃっかり者の峰吉には舌を巻き、力自慢の巳之助とは幽霊の出る空き家で一夜を過ごす。

連作短編集の形をとっているので、ひとつひとつの話が一見なんの繋がりもないように見えて、けれども実は、ページを読み進めるうちに、幽霊たちの思いや無念が、益治郎の今の立場と微妙に繋がって行くあたりは、さすがの皆塵堂シリーズといったところ。

血まみれ幽霊が跋扈するようなおどろおどろしい展開を読んでも、なぜかちっとも怖くならない不思議な感覚のほんわかほっこり時代ミステリー。

ずっとずっと続いて欲しい、大好きなシリーズ。