[感想]カード・ウォッチャー/石持浅海

040601

お薦め度:★★★☆☆

変形倒叙ミステリー。

研究所でサービス残業をしていた下村が、椅子から落ちて手首を痛めてしまう。本来なら労災扱いになるはずが、申請をしなかったために、労働基準監督署の職員が臨検にやって来ることに。

常態化している労災隠しやサービス残業の実態が少しでも軽く見えるようにと、総務の米田と小野があたふたしている中、倉庫に転がる社員の死体……。

「あの人を相手にして隠し通せるとは考えるな」と本社の人間に助言されているにもかかわらず、何だかんだで策を弄しようとする総務のふたり。

あぁ、そんなことしたら、ますます話がややこしくなっちゃうのに、と読みながら思っていると、案の定、論理の矛盾を労基をに突かれて、自らの言葉で自らが窮地に追いやられて行く。

そこらあたりの駆け引きは、石持さんのいつもの持ち味が炸裂。

倉庫に転がる社員の死体が全体をぴりりと引き締めて、最初から最後までダレることなく物語が進む。

決してスケールの大きな作品ではないけれど、ちょっとした気分転換の読書にお薦め。