[感想]勝ち続ける意志力/梅原大吾

040301

ギネスにも載っているプロゲーマーの驚異的な努力

実は著者のことはまったく知らなかった。

14歳で日本一になったことも、17歳で世界一になったことも、日本人として初めてのプロゲーマーとなったことも、さらには「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」としてギネスに認定されたことも。

ちきりんさんのブログで紹介されていて、何だか面白そうだなと思ったから、ただそれだけの理由で読み始めたのだ。


軽い気持ちで手にとったにもかかわらず、本書の内容は深くて熱い。

「やれば出来る」という言葉をよく耳にするが、梅原さんの努力を知った今となっては、あまりにも空々しくて陳腐に聞こえる。

とにかく、その努力たるや、そこまで自分を追い詰めて、痛めつけて、そうしてまでも高みを目指さなくたって、と凡人の私などは思ってしまうほどなのだ。

けれども梅原さんは、「手を抜かず徹底的に追求することが、自信を持つ何よりの糧となったのだ」と言う。

さらには

「どれだけ勝とうが負けようが、結局は誰もがひとりの人間に過ぎず、結果はそのときだけのものだ。勝敗には必ず原因があり、結果は原因に対する反応でしかない。刹那的な結果に左右されず、勝てるようになるための努力を怠っていいはずはない。」

とも。

また、

「先頭に立つ者は常に新しいものを生み出し続ける必要がある。そうしないと大勢の競争相手に飲み込まれて、トップではいられなくなってしまう。」

との言葉は、企業の経営に通じるものすら感じる。

これらの梅原さんの考え方には、大いに納得する一方で、実はどこか漠然とした違和感が頭の片隅でもやもやとしている。

このもやもやは何なのだろうと考えて、ぼんやりと思いいたったのは

もっと楽に生きる道もあるのではないかと、という私の中の感覚なのではないか、と。

彼の努力を否定するわけではない。天才とも神とも呼ばれる人間は、これほどの努力をこなしてしまうものなのかと、感嘆に似た思いすら抱く。

「正しい努力とは変化し続けること、前進し続けること」

「自分を痛めつけることと努力することは全然違う」

と、30歳を越えた著者自身、一歩ひいたところからきちんと努力の形を確認している。

それでもなお、本書全体を通して漂う、ヒリヒリとするほどの努力の跡が、どうにも読んでて落ち着かない。居心地が悪いとでも言ったらいいのだろうか。

内容が悪いというのでは決してない。むしろ素晴らしい本だと思う。

ただその素晴らしさが、自分にとっては、明日も頑張ろうというパワーの源になるのではなくて、熱すぎる温泉に足の先を浸してしまったかのような、そんな感覚なのだ。

もやしっ子、もしくは豆腐っ子を自認される方は、読む前にそれなりの覚悟をしてから読むことをお薦めします。