[感想]ザ・チーム/井上夢人

030401

お薦め度:★★★☆☆

8編からなる痛快な連作短編集

『通勤電車で読みたい文庫No.1』の帯があまりにもインパクトがあって、何のことだ?とばかり思わず手にとった作品。

そもそも短編はあまり得意ではないのだけれも、それでも井上さんの作品ならばと読み始めてみたならば、まったくもって期待を裏切らず。

爽快、痛快、でもってテンポの良いストーリー展開にあっという間に物語世界に引き込まれてしまった。


盲目の霊導師である能代あや子。けれども実は、彼女には霊感なんてものはこれっぽっちも存在しない。

仲間たちが相談者の過去、現在を徹底的に調査し、その結果に基づいて能代あや子があたかも霊視しているかのように見せながら、人々の悩みを解決しているのだ。

8編も収められていれば、同じような展開のものが出てくるかなと思いきや、どの作品もそれぞれに切り口が違っていて、なるほど今度はそう来たかと思わされることしばしば。

その相談をどうやって解決するんだ?と思うようなものも、仲間たちの活躍と能代あや子の言葉の巧みさでもって、想像の上をいく解決を提示してみせる。

読んでいて心地良いことこの上ない。

全作品を読み終えた後の余韻がやや少なくて、読んでいる最中の面白さ、楽しさが本をパタンと閉じた瞬間に頭の中からささーっと消えてしまうのが、ちょいとばかし物足りないのだけれども、だからこその通勤電車本なのかなあと思ってみたりみなかったり。

時間を忘れて没頭するには最適な1冊であることは間違いなしです。