[感想]リカーシブル/米澤穂信

021402

お薦め度:★★☆☆☆

ひたすらモヤモヤ、ザワザワとした物語

父親が失踪したために、やむなく母親の故郷へと帰ることとなった姉のハルカと弟のサトル。過疎化が進むさびれた町の閉塞感にどことなく不安を覚えるハルカは、それでも新しく入学した中学で、何とかうまくやって行こうと努力する。そんな中、弟のサトルが不思議な予知能力を発揮する。

未来が見える人間なんているのだろうか、そう思ったハルカが行き着いた先は、この町で古くから伝わる「タマナヒメ」伝説だった。


とにかく、最初から最後まで、得体の知れぬ不安がじわじわと押し寄せて来る作品だった。

序盤は、その不安の正体が見えず、事件らしい事件も起こらず、もやもやした気分のままページをめくった。ようやく物語が転がり出したかと思った中盤以降、今度はあれよあれよと言う間に話が収束へ向かって、気がついたら読み終えていた。

なるほどそこが落としどころだったのか、と思ってはみたものの、ハルカの行く末は茨の道のまま。ぬぐってもぬぐってもぬぐいきれない不安が彼女のまわりにべっとりと貼り付いている。サトルが彼女の心の支えにはなるかもしれないけれど、小学校3年生はまだまだ幼い。いや、それを言うなら、ハルカだってまだ中学1年生だ。

爽快感あふれる作品が大好きな私には、この作品はちょっと苦みがききすぎていた。