[感想]ルパンの消息/横山秀夫

お薦め度:★★★★☆

読み始めたら止まらない。久々の一気読み

横山秀夫さんの「64」が大層評判が良いようで、読んでみようかな、どうしようかなと迷うこと数十日……、ん?数ヶ月?。とにかく迷っているうちに2012年が終わって、2013年になってしまった。

何となく硬派で重いイメージがあるので、気軽に手が出せないのだ。

だったらとりあえず文庫になっている作品で、しかもKindleだったらもっといいな、と探し出したのが、横山さんのデビュー作となる本書「ルパンの消息」。


長らく未刊行だった幻のデビュー作と言われる作品を改稿し、文庫化される時にはもう一度手直しをしているとかで、作品そのものにはデビュー作にありがちなつたなさは全くなく、それどころかとんでもなく完成度の高い作品に仕上がっている。

15年前の女性教師の自殺は、実は殺人事件だった……、謎のタレコミが警察にもたらされたのは、殺人の時効まであと1日というギリギリの時だった。

関連があると思われた当時の生徒3人が警察に呼ばれ、事情聴取が行われる。彼らが語る過去の情景と、時効前に何とか犯人を突き止めようとする刑事たちの焦り。過去と現在とが交互に語られて行く。どこか郷愁を帯びた高校時代の物語と、15年という時間の残酷さが次第、次第にあぶりだされ、そうして導きだされる結末。

とにかく、読ませる、読ませる。

先が気になって、どうにも本を置くタイミングが見当たらないくらいの圧倒的ストーリー展開。なるほどこれが横山秀夫なのかと、その人気の一端を見たような気さえしたほど。

ただ、個人的に言うならば、ちょっと切ないねぇ。切なすぎるねぇ。

ラストはあたたかな雰囲気でまとまっているのだけれども、人生の残酷さというか、一歩間違えたらどこに転がり落ちるかわからない不安感というか、そんな普段はあまり考えないようにしている思いが、本書を読んでいると知らず知らずのうちに胸にわき上がって来て、そこのあたりが少しばかり辛かった。

人生に真っ向勝負で立ち向かえる勇者にはお薦めの1冊。私のような甘ちゃんには★4つということで。