[感想]百器徒然袋 雨/京極夏彦

012207

お薦め度:★★★★★

破天荒で痛快な京極堂シリーズの番外編

京極堂シリーズ(百鬼夜行シリーズ)といえば、超長編というのが定番。けれど、この番外編ともいえる「百器徒然袋 雨」は中編3編からなる連作短編集。

う~ん、中編なのね……ということで、今まで手つかずで来たのだけれども、Kindle版になったことをきっかけにポチっ♪と購入。

そうして読み始めたらもう、面白いのなんのって。

榎木津が、中善寺が、益田が登場するたびに、懐かしい友人にでもあったかのような気分になって、その瞬間に物語の世界に没頭。

番外編ということもあって、いつもは沈着冷静で出不精の中善寺がフットワークの軽さを披露したかと思えば、榎木津はいつもの50パーセント増しでの破天荒ぶり。益田がぶつくさと愚痴を言っている間にも、語り手である「ぼく」は、自分が確実に榎木津の下僕の道を突き進んでいる事実にオロオロする。

もう何ていうか、いつもの面々が作品の中で動き回っているだけで、読んでいるこちらは楽しくて仕方がない。

何気ないひと言にも、ああ彼らならそう言うよなあ、などと納得して、頬のあたりがむず痒くなって思わずニヤッとしてしまう。

いかん、いかんこれではただの不審者だとばかりに、あわてて神妙な顏で再び文字を追い始める。

はあ、なんて素敵な読書時間。

京極堂シリーズが好きな人には自信をもってお薦めの1冊。