[感想]何者/朝井リョウ

011103

お薦め度:★★★☆☆

小道具としてTwitterの使い方が秀逸

初めて読む朝井リョウさんの作品。直木賞にノミネートされたり、「桐島、部活やめるってよ」が映画化されたりと、なんだかんだで話題のお方。

本作「何者」は、大学生の就職活動を通して、彼らが「何者」であるのか、また「何者」になろうとしているのか、本当の自分とは何なのかを描いた作品。

作者の朝井リョウさんも就職活動を経験したばかりらしいので、その時に実際に経験したであろうモヤモヤとした思いが作品に反映されているのだと思う。けれど、遠い遠い昔に就活を終えてしまった自分は、就活そのものよりも、就活を通してあぶりだされる若者たちの心の揺れや負の価値観のようなものに、よりいっそう意識が集中した。

おそらくは一番自意識過剰な高校時代からちょっとだけ大人になった大学生。自分を解放する術を覚えて、もう少し上手くやっていける時代だとばかり思っていたけれど、今の若者たちはそうでもないのだろうか。TwitterのようなSNSが発達したことで、自分の内面や他者の内面が必要以上に気になって仕方がないということなのかもしれない。

とにかく、若者たちのヒリヒリとした感覚が半端ない。ちょっとしたひと言、周囲の風景、騒音、空気……、さりげない描写の積み重ねが、彼らの心の中をあまりにも巧みに描くものだから読んでいるこちらまでもが息苦しくなって来る。

上手い。朝井さんって本当に上手いなあ。

相手の一挙手一投足に、いちいちその裏側をさぐる登場人物たちに好感を持つことが出来なかったから、この作品を好きだとか、お薦めだとかは言いにくいのだけれども、これからも私が朝井作品に注目し続けることになるのだろうな、ということは言えそうだ。