[感想]女王国の城/有栖川有栖

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女王国の城 上女王国の城 下
有栖川有栖 著/創元推理文庫
お薦め度:★★★☆☆

ちょっと遠出するかもしれん。そう言ってキャンパスに姿を見せなくなった、われら英都大学推理小説研究会の部長、江神さん。向かった先は“女王”が統べる聖地らしい。場所が場所だけに心配が募る。週刊誌の記事で下調べをし、借りた車で駆けつける―奇しくも半年前と同じ図式で、僕たちは神倉に“入国”を果たした。部長はここにいるのだろうか、いるとしたらどんな理由で―。(文庫裏表紙より)


学生アリスシリーズ第4弾。第8回本格ミステリ大賞受賞作品。

あんまり積むと崩れちゃいますよ、と言いたくなるほどの勢いで、書店の平台にどどんと積まれていた「女王国の城」の上巻と下巻。

そこまで人気の作品ならば……ということで、読み始めることにしたわけですが、実をいえば初の有栖川作品。当然ながらアリスシリーズもまったくの未読状態。

そのせいなのかどうか、登場人物たちのキャラクターが皆弱いように感じました。

都大学推理研のメンバーたちも何やら個性不足で、紅一点のマリアはとりあえず認識できるとしても、その他のメンバーは頭の中でぐちゃぐちゃに。各々のセリフを入れ替えても、きっと違和感を覚えないだろうと思えるくらいに個性が薄く、物語途中からどれが誰の会話なのかいちいち考えるのを諦めてしまったほどです。

だったら面白くなかったのかと言えば、これが案外と面白くって、上下2巻の長編にもかかわらず、あっと言う間に読み終えてしまいました。

物語の舞台が新興宗教団体の「人類協会」という、日常とはややかけ離れたところに設定されていたことが、私の興味をひいたのです。

その信仰心ゆえに、万人には計り知れない何かが起こる、起こるに違いない、きっと起こるぞ、といった予感めいた好奇心に引きずられて、ページを次から次へとめくって行き、たどり付いた先は……、ふ~ん、そういうことですか。

何と言っても本格推理ですから、詳しいことを書けないのがもどかしいのですが、★3つの評価ということから、いろいろとくみ取って下さいまし。

あっ、ちなみに本作「女王国の城」は本格ミステリ大賞受賞のほかに、本格ミステリベストテンで第1位、このミスで第3位を獲得しています。