[感想]絶対服従者(ワーカー)/関俊介

010901

お薦め度:★★★☆☆

蟲と人間とが共存する社会。日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作

「絶対服従者(ワーカー)」というタイトルを見て「ゼッタイフクジュウワーカー」と読むのだとばかり思っていたら、「絶対服従者」と書いて「ワーカー」と読むらしい。なるほど。

突然変異で高度な知性を獲得した蟲たちと人間とが共存する社会。10センチほどの大きさとなったクロオオアリたちは、1匹1匹では非力ながらも、その圧倒的な数でもって人間たちの仕事を奪って行く。その裏にあるのは、働きアリ(ワーカー)を1匹でも多く生産するために人間たちが作り上げたアリ工場と、長期政権で市政を私物化している市長の存在。

その事実を知ってしまった主人公の槙田と、闇組織との死闘。

 

中盤までは抜群に面白かった。物語のスピード感に加え、その生態を上手にとらえた人と蟲との会話は、なるほどハエなら、ハチなら、アリなら、そういう思考回路だろうなと感心することしばしば。

主人公とキイロスズメバチとのやりとりにいたっては、淡い恋心すらも生まれているかのように見え、一人と一匹の先行きを心配したり、応援したりしながら読んでいたら、あっという間に物語終盤。

そうして私は、この大切な終盤でしばらくの間、物語から放り出されてしまった。

というのも、読んでいるこちらまでもが気分の悪くなるような暴力描写があまりにもグロテスクすぎて(あくまで自分基準)、今までの物語の楽しさが一気に吹き飛んでしまった感があるのだ。これが作者の作風なのだと言われればそれまでなのだけれども、もう少しソフトに書いて欲しかったな、と。

グロテスクなシーンも大丈夫という方にはスピード感あふれるおすすめのエンターテイメント作品。けれど、その手の話が苦手な方は、ちょいとばかり覚悟してから読み始めることをおすすめします。