[感想]華竜の宮(下)/上田早夕里

12121301

お薦め度:★★★☆☆

たとえ超長編になっても、涙ぽろぽろとなるくらい感動したかったなぁ

上巻で提示された様々な伏線(上巻感想はここ)。

陸上民と海上民との対立、ツキソメの出生の謎、地球規模の天変地異……、魅力的な世界観がこれでもか!というほどに描かれていたものだから、これらを一体どのようにして回収して行くのだろうと、興味津々で読み始めた下巻。

なのだけれども。

日本SF大賞を受賞し、世間の評価も非常に高い本書なので、その着地点はどれほど素晴らしいものなのだろうかと、やや期待しすぎた感があったのは否めない。

残念ながらその期待は、読めば読むほどにシュルシュルと音をたてて小さくなり、ラスト1行にいたっては、

それですべてが解決なのか!?

と軽い脱力感。長編だっただけに、なおさら。

ツキソメの生物としての特異性も期待していたほどに物語に影響を与えず。地球規模の天変地異に人類総出で立ち向かうのかと思いきや、わずかな描写であれよあれよと言う間に物語は流れて行く。

あぁ、もっとしっかりと読みたかった。涙ぽろぽろ流してしまうくらいに感情移入をしたかった。そのせいで、この作品のボリュームが1.5倍になったとしても、絶対に文句は言わない。それどころか、きっと感謝すらしていたと思う。

このやり場のない中途半端な気持ち、いったいどこにどう持っていったらいいのやら。

 

ただひとつ納得したのは。

物語の最初からアシスタント知性体のマキが「僕」と一人称で語っていた理由。当初から不思議で仕方なかったのだが、ラストを読んで、ああこの結末を導き出すためだったのかと腑に落ちた。

うん。

ここだけはすっきりした。