[感想]スタジアム 虹の事件簿/青井夏海

 スタジアム 虹の事件簿 (創元推理文庫)

スタジアム 虹の事件簿
青井夏海/創元推理文庫 おすすめ度:★★☆☆☆

いつも優雅なドレスに身を包み、綺麗な靴を履いて観客席に現れるおっとりした女性・虹森多佳子。超弩級の野球音痴でありながら、なぜかプロ野球球団・東海レインボーズのオーナーを務める彼女は、奇妙な謎を次々と解決に導く才能も持ち合わせていた!安楽椅子探偵の冴え渡る推理と、優勝の夢に向かって疾走する万年最下位球団の奮闘を描いた、値千金の愛すべき本格ミステリ。(文庫裏表紙より)


無名の新人(素人?)が自費出版した作品が、長い月日をかけて、インターネットなどの口コミで話題となり、今回創元推理文庫から出版されることとなった……と聞いていたので、かなり期待していたのだが、ちょっと私の期待が大きすぎたか。

新人の作品としては、確かに水準以上の出来なのだろうが、個人的にはかなり物足りなさを覚えた。爽やかな読後感と表現されることが多いようだが、私にはあっさりしすぎていて、なんだかなぁといった感じ。肝心の謎解きのほうも、おぉっ!!と思わず唸りたくなるような鮮やかな展開ではなく、よくもここまでといった用意周到なるこじつけが多く、素直に楽しめなかった。

また、連作短編集の形を取っているのだが、物語の視点(主人公)は一話ごとに変わっており、優れた推理力を持つとする虹森多佳子は、毎回脇役、というか、単なる謎解きのために用意された人物という印象が強く、ひとつひとつの物語があまり上手くまとまっていない印象を受けた。

というわけで未読の山をかきわけて、せっかく選び取る一冊なのだから、次からはもう少し感情移入しやすい作品を読みたいなぁ、などと思った次第。