[感想]魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?/東川篤哉

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魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?
東川 篤哉 著/文藝春秋
2012-09-28
お薦め度:★★★☆☆

美貌で美脚。傍若無人のキャリア系女子・椿木綾乃警部。実はキレ者?それともただの変態?小山田聡介刑事。魔法使い少女マリィ。待望の新シリーズSTART!謎と魔法のユーモア・ミステリー。(「BOOK」データベースより)


くだらなすぎて、面白い。

東川篤哉さんの新シリーズということで、期待半分、不安半分で読み始めた本書。結論から言えば、想像以上に楽しく読み終えることができました。

「奥さまは魔女」と「刑事コロンボ」から着想を得たという本シリーズは、なんと魔法使いと本格ミステリーを融合させた驚きのストーリー。

全4編が収録された短編集なのですが、すべての作品は「倒叙」と呼ばれるタイプのミステリ-。まずは犯行現場が描かれるため、読者はすでに犯人が誰を知っている状態から物語はスタート。

魔法使いの女の子が、魔法を使って(!)犯人を見つけ出すところは、通常のミステリなら掟破りではあるのですが、そこはそれ、読者としてもすでに犯人を知っているわけですから、思いのほか違和感なくこの状況を受け入れることができます。

犯人を知った探偵役の小山田刑事が、彼/彼女のアリバイ、トリック崩しに挑むわけですが、ここらあたりは本格ミステリーの趣をしっかり保っています。

ベタで、くだらなくて(いい意味で)、ぐだぐだの作品なのですが、それでもきちんと一本芯が通っているので、知らず知らずのうちに物語に引き込まれます。

小山田刑事と魔法使いのマリィのコンビは、どことなく「謎解きはディナーのあとで」を思い起こさせるのですが、それでもマリィのツンデレな可愛らしさを見ていると、まっ、そんなことはどうでもいいか……的な気分になって来ます。

キャラの愛らしさに加え、本格ミステリの楽しみも味わえる「魔法使いマリィ」シリーズ。今後の展開が楽しみです。