[感想]ダブル・ジョーカー/柳広司

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ダブル・ジョーカー
柳 広司 著/角川文庫
2012-06-22
お薦め度:★★★☆☆

結城中佐率いる異能のスパイ組織“D機関”の暗躍の陰で、もう一つの諜報組織“風機関”が設立された。その戒律は「躊躇なく殺せ。潔く死ね」。D機関の追い落としを謀る風機関に対し、結城中佐が放った驚愕の一手とは?表題作「ダブル・ジョーカー」ほか、“魔術師”のコードネームで伝説となったスパイ時代の結城を描く「柩」など5篇に加え、単行本未収録作「眠る男」を特別収録。超話題「ジョーカー・ゲーム」シリーズ第2弾。(文庫裏表紙より)


D機関の面々の活躍をもっとストレートに見たかった

ジョーカーシリーズは今までに3作発売されているのですが、読む順番が前後してしまい、

1作目(ジョーカー・ゲーム)⇒3作目(パラダイス・ロスト)⇒2作目(ダブル・ジョーカー)

といったややイレギュラーな形となってしまいました。

2作目にあたる「ダブル・ジョーカー」を読みつつも、3作目の「パラダイス・ロスト」がすでに書かれていることを知っていたわけなのですが、もしも3作目がまだ発売になっていない段階だったなら

ジョーカーシリーズもここで終わりかも。

と思ったかもしれません。

「ジョーカー・ゲーム」を読んだ時のような、あっと驚くような展開、真実を見た時の爽快感、そういったものが今作には乏しく、読んでいる間中フラストレーションのようなものすら感じてしまいました。

スパイ組織である「D機関」の存在があまりにもさり気なさすぎるのです。

たとえるならば、関西風の薄味のうどん。

それも、ダシを上手くきかせられなかった、どこか物足りないうどん。

そんな感じなのです。

表題作の「ダブル・ジョーカー」をはじめ、6つの短編がおさめられているのですが、D機関のメンバーが直接的に胸のすくような活動を見せる作品は少なく、そのほとんどがD機関の周囲の人物を主人公に据えています。そうして、D機関の影がちらほらと見え隠れしつつ話が進行するスタイルを取っているのですが、その分緊迫感が欠けてしまったように思います。

頭脳戦が繰り広げられるのはいつものことなので、決してつまらないわけではないのですが、私が求めていたジョーカーシリーズとはちょっと違ったかな、と。

第3作目はすでに読んでいるので、次は第4作目に期待といったところです。