[感想]ターン/北村薫

121503

「スキップ」に続く<時と人三部作>の第二作目。とはいえ、物語自体に関連性はないので、この作品から読み始めても何の問題もありません。

ものすごい話題になったスキップは、個人的には平均点よりちょっと上程度の評価しかできなかったので、あまり評判にならなかった「ターン」のほうは、なかなか手を出すことができずに今日まで来てしまいました。けれど読み終わった今、今年読んだ本の中では、三本の指に間違いなく入る作品となりました。

時をテーマにした作品は、深く考え過ぎると、物理的迷路に陥って物語そのものを楽しめなくなってしまうことがあります。この作品も、あまり深く考えすぎると、じゃあこれはどうなるの、あれは??となってしまう部分がありそうな気がするのですが(←考えないで読んだので、確信はもてませんが)そういう重箱の隅的な読み方でなく、北村薫の世界にどっぷりと身を預けつつページを繰りました。

冒頭部分、いきなりの「二人称」に一瞬戸惑いを覚えたのですが、なんとなんとここからすでに物語の伏線がはられていたのです。このあたりの構成の妙は、まさしくプロの技です。

SFのような、純文学のような、それでいてミステリーでもあって、恋愛小説でもある……、なんとも分類の難しい小説ですが、相も変わらず優しくて、透明感に満ちた北村薫の世界がここには広がっています。終盤に登場する「柿崎」なる人物にやや難を感じなくもないのですが、そこを差し引いても十分に素敵な物語でした。どうしようかなぁと思っている人は、とにかく読んでみて下さいネ。

お薦め度:★★★★★