[感想]僕は長い昼と長い夜を過ごす/小路幸也

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僕は長い昼と長い夜を過ごす (ハヤカワ文庫JA)
小路 幸也 著/ハヤカワ文庫
お薦め度:★★★☆☆

50時間起きて20時間眠る特異体質のメイジは、のんびりした性格とは反対に、母親が失踪、父親が強盗に殺されるという過去があった。あるとき、ときどき引き受けている“監視”のアルバイトで二億円を拾ってしまい、裏社会から命を狙われるようになる。家族を、大切な人たちを守るため、知恵と友情を武器に立ち向かう。だが、その体質が驚愕の事態を引き起こし…人とは違う時間を生きる青年が挑むタイムリミットサスペンス。(文庫裏表紙より)


サスペンスというよりは、ほのぼのとした小説

お初の小路幸也さんです。

小路幸也さんといえば「東京バンドワゴン」シリーズが有名なのですが、そのあまりにも有名なシリーズの流れにすっかり乗り損ねてしまったため、文庫化された「僕は長い昼と長い夜を過ごす」を今頃になって手にした次第。

本作の裏表紙を見ると「驚愕の事態」だとか、「タイムリミットサスペンス」だとか、何やらハラハラドキドキがつまった作品のようなイメージを描きがちですが、でもって、私ももちろんそのような作品を想像して本作を読み始めたのですが、思っていたのとはだいぶ雰囲気が違いました。

確かに主人公の「僕」は50時間起きて、20時間眠るという特異体質ではあるのですが、そのことが2億円事件にどれだけの影響を及ぼすのかと言えば、さほど深刻なものではなく。

また「僕」自身がどこかのほほんとしているので、大金が絡んでいるわりには物語はひょうひょうと進んでいきます。相棒の「ナタネさん」も、冷静沈着、何事もそつなくこなす頼れる存在なので、読んでいるこちらには、危機感のようなものがさっぱり伝わって来ません。

ふんわりほのぼの、のほほんと読むには良い作品かもしれませんが、ミステリーとして読むとやや物足りない感じを覚えました。