[感想]猫弁と透明人間/大山淳子

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猫弁と透明人間
大山 淳子 著/
お薦め度:★★★★★

百瀬太郎は、おひとよしの天才弁護士。ペット訴訟で放り出された猫を引き受け、事務所は猫でいっぱいに。そんな百瀬のもとに、新たな依頼人“透明人間”からメールが届いた。メールを読んだ百瀬は、タイハクオウムの杉山を救出し、またしても事務所に連れて帰る。―なぜ人は自分のそばにいる人を大切に思えないのだろう?そばにいてくれるだけでありがたいのに。人を、猫を、依頼人を守るため、百瀬太郎は今日も走る。数々のピースがあたたかく繋がる、『猫弁』シリーズ第二弾。(「BOOK」データベースより)


ほのぼのと心が暖かくなる

前作から気にはなっていたのです。

ですが、TBSドラマ原作大賞の受賞作ということで、ひょっとしたらとても軽い展開の作品かもしれないなどと、変な先入観を持ってしまい、結局読まずじまい。

それでもシリーズ2作目が出版されたと知り、迷っているなら読んでしまえ、とばかりに手にした本作。

結論からいえば、先入観に振りまわされず、もっと早くから読んでおくのだった、と思うほどのほっこりとした素敵な作品でした。

タイハクオウムのレスキューから物語はスタートします。

タイハクオウムの名は「杉山」。なんなんだこのふざけた名前は、と思っているうちにも、天才で、純粋、そして変わり者の弁護士 百瀬太郎は依頼人である「透明人間」を探しだそうと、動き始めます。

婚約者の大福さんとの、あまりにも初々しいお付き合いの様子が織り交ぜられつつ、徐々に「透明人間」の真相へと近づいていく百瀬。

天才であるにもかかわらず、その天才ぶりがあまりにもさらっと、まるで何事もなかったかのように描かれるものですから、こちらの印象に残るのは、百瀬のその愛すべき変わり者ぶりばかり。

でも、それでいいのです。それこそが本作の魅力。

変わり者百瀬の周囲は、いつもほっこりと暖かくて、読んでいるうちに自分自身も純粋な人間になったかのような思いにとらわれます。

お涙ちょうだいの感動作品ではないというのに、読んでいるうちに、あまりにも何もかもが暖かすぎて、なんだか泣きたいような、そんな気持ちにすらなりました。

ラストも秀逸。

そのシーンが目に浮かぶかのような、あざやかな描写です。

ちょっと軽めのタイトルと、ラノベチックな装丁に臆することなく、ぜひとも読んで欲しいお薦めの作品です。