[感想]フィッシュストーリー/伊坂幸太郎

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フィッシュストーリー
伊坂 幸太郎 著/新潮文庫
お薦め度:★★★☆☆

最後のレコーディングに臨んだ、売れないロックバンド。「いい曲なんだよ。届けよ、誰かに」テープに記録された言葉は、未来に届いて世界を救う。時空をまたいでリンクした出来事が、胸のすくエンディングへと一閃に向かう瞠目の表題作ほか、伊坂ワールドの人気者・黒澤が大活躍の「サクリファイス」「ポテチ」など、変幻自在の筆致で繰り出される中篇四連打。爽快感溢れる作品集。(文庫裏表紙より)


中でも表題作の「フィッシュストーリー」がお気に入り

4つの中篇がおさめられた作品集です。

実は、中編や短編集というのはちょっと苦手で、連作短編集の形をとっているもの以外はほとんど読みません。なんとなく、物語世界に入り込みにくいのです。

ですが今回は、家の子太郎のお薦めもあって読み始めた本作。収められている4作をお気に入り度で順番付けするならば

「フィッシュストーリー」>「サクリファイス」>「動物園のエンジン」>「ポテチ」

の順といったところ。

どの作品にも、ほんのちょっとミステリー要素がそえられていて、読み手にとってはその巧妙な仕掛けがページをめくる原動力になっています。

それで? それから? とこちらの好奇心はあおられるのですが、読み終えた後にあまり印象が残らないのがやや残念なところ。霧雨の中にあらわれた虹のように、どこか不思議で、爽やかで、そしてあっという間に消えてしまう、そんな印象でしょうか。

表題作の「フィッシュストーリー」は、風が吹けば桶屋が儲かる的な、まわりまわって何がどこでどう繋がるのか、未来なんてわからないんだよ、といった感じのストーリーです。

未来なんてわからないけれど、自分のほんのささいな、その時は何の意味もないと思っていたような行動でも、巡りめぐって、どこかで誰かに影響を及ぼすことがあるのかもしれない……、そんなことをふと考えたくなる、洒落たストーリーです。

うん、これは嫌いじゃない。

残り3作品には、特にこれといった味わいを感じなかったのですが「フィッシュストーリー」を読めただけでも収穫でした。

全体的には★3つ。フィッシュストーリーだけでみれば、★4つ。