[感想]鳩笛草 燔祭・朽ちてゆくまで/宮部みゆき

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ひとつひとつの物語に関連性はありませんが「超能力を持つ女性の話」という共通項でくくられた作品集です。

ミステリー作品として、謎ときの部分や物語の緊迫感などに重きを置いてみれば、鳩笛草が一番出来の良い作品ということになるのかもしれませんが、個人的には「朽ちてゆくまで」が一番好きなタイプの作品でした。心の優しい人々ばかりが登場する宮部ワールドによくある物語設定で、この手の話に弱い私などは、まだ物語が山場を迎えてもいないうちから、目をうるうるさせながら読む羽目になりました。作風的には、一番最初の短編集「我らが隣人の犯罪」の中に収められている「サボテンの花」という作品を思い出しました。

「燔祭」は映画にもなった「クロスファイア」の原形とも言われているようですが、クロスファイアを読んでいない私には良くわかりませんでした。3作品の中では、一番苦手なストーリー展開だったかも。

「鳩笛草」は、う?ん、やっぱり優しいお話ですね。ただ「燔祭」もそうなんですが、超能力を持ってしまったことに対する悲哀が最後まで払拭されなかったあたり、ちょっと悲しい……かも。

というわけで、これで文庫化された宮部作品はすべて読んだことになるはずです。かつては、新作が発売されると同時に単行本の段階で購入していたのですが、その頃に比べると今はちょっと熱が醒めたというところでしょうか。どうも彼女の作品は、デビュー当時のほうが生き生きとしていたような気がするのです。

時代物、少年物、超能力物など様々な作品を書いている彼女。私はなかでも少年物が一番好きです。「理由」が彼女の代表作となるのでしょうが、私は断然「今夜は眠れない」派。あと「ステップ・ファーザー・ステップ」も良かったですね。「今夜は眠れない」はすでに文庫化されていますから、未読の方はぜひ一度手にとってみて下さいませ。さっくりと軽いけれども、最後にはきちんと感動できる作品です(そういえばこれも泣いたなぁ)

って、なんだか今回は鳩笛草の感想でなくなって来てしまいましたね(^^ゞ

お薦め度:★★★★☆